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完璧より改善。日野折箱店が見つけたDXのほんとうの意味。

経営資源は乏しい小さな会社だけど、大きな夢があるんです。
「日野の折箱で良かった」「商品の付加価値が上がった」
そんなお客様の声に支えられながら、私たちは折箱の可能性を広げたいと日々奮闘しています。
小規模事業者だからこそできる独自の取り組みを続け、折箱を通じて社会に貢献する。
このブログでは、私たちの挑戦と学びを綴っていきます。


「引き継ぐ」想いから始まったDX

「DXって、うちみたいな小さな会社には関係ないですよね?」
自分もそう思っていました。
ただ、自分以外の人に業務をスムーズに受け継ぎたい――それだけは、ずっと心の中にありました。

従業員10名以下、IT担当者ゼロ。
パソコンより、手作業と感覚の世界。
DXなんて遠い国の話にしか感じませんでした。

でも、現場の困りごとは待ってくれません。
注文書の誤記、在庫ズレ、情報の行き違い。
誰かが休めば仕事が止まる。
「このままでは未来がない」と感じたとき、
初めて仕組みでつなぐという考えが浮かびました。

DXの目的は人を減らすことではなく、時間と知恵を次に渡すこと。
それが、私たちのスタート地点でした。

目次

  1. 「引き継ぐ」想いから始まったDX
  2. 「完璧じゃなくていい」から始めた最初の一歩
  3. 3つの「目」で会社が変わった
  4. 失敗を恐れず、仕組みを育てる
  5. 引き継げる会社を目指して

「完璧じゃなくていい」から始めた最初の一歩

まずはアナログから始めよう。
市の産業支援コーディネーターさんの支援をいただき、伴走してもらいながら進めました。
最初に取り組んだのは、工程表と番号を使った管理体制の構築です。

もちろん、最初からうまくいくわけではありません。
現場に合わせてやり方を変えたり、
逆に現場が仕組みに合わせていったり──その繰り返しでした。

それでも、少しずつ成果が見え始めました。
「やってよかった」「現場の精神的な負担が減った」
そんな声が出てきたとき、ようやく 前に進んでいる 実感が生まれたのです。


3つの「目」で会社が変わった

数年経った今、振り返ると成功の鍵は3つの目にありました。

① 現場の目
自分たちの手で見て、動く。
問題は会議室ではなく、現場の中にある。
データを眺める前に、現場の声を聞くこと。
そこから、すべてが動き出しました。

② 他人の目
支援機関、IT専門家、他社の経営者。
外の世界に触れることで、「当たり前」が何度も壊されました。
「そんなやり方があるんですね」と驚くたびに、
自分たちの常識がやさしく書き換えられていきました。

③ 未来の目
数字で確かめ、次の手を考える。
感覚ではなく、データで語れるようになってから、
社員同士で成果を共有できるようになりました。
折箱部門の売上が7倍になったのは、現場と数字の両方を見たからだと思います。


失敗を恐れず、仕組みを育てる

導入したハンディ端末は、うまく機能せず失敗に終わりました。
「業務の流れとシステムの動きが合っていなかった」──今ならわかります。
けれど、その経験こそが次の改善の種になった。

アナログとデジタルを組み合わせ、
現場が使いたくなる仕組みに少しずつ作り直していった。
仕組みは人に合わせ、人が仕組みを育てていく。

DXは導入するものではなく、育てるもの。
この考えが、今の私たちを支えています。


引き継げる会社を目指して

デジタル化で最も変わったのは、実は人でした。
現場が自分で考え、提案し、改善を繰り返す。
繁忙期でも閑散期でも、いつものペースで落ち着いて動けるようになった。
その姿を見るたび、
「これなら次の世代にバトンを渡せる」と感じます。

DXは、結局人を活かす経営なんだと思います。
完璧を目指すより、改善を続ける会社が強くなる。
それが、私たちが見つけたDXのほんとうの意味です。


この数年の学びを、次は自分の言葉で伝えたい。
そんな想いから、11月28日(金)福山庁舎で開催されるDX×交流イベント(第3回)」に登壇します。

【DX×交流イベント(福山開催)のご案内】 11/28(金)15:00~17:30|広島県DX推進コミュニティ(公式ホームページ)広島県庁の【DX×交流イベント(福山開催)のご案内】 11/28(金)15:00~17:30ですhiroshima-dx.jp

「何から始めたらいいか分からない」
「人も時間も足りないけれど、変わりたい」
そんな方にこそ聞いてほしい、等身大のDXの話です。